火山が噴火すると、火砕流や火山灰などの災害が発生し、大きな被害をもたらします。
火山活動により、地震や火山ガスの発生、降灰による交通機能の麻痺など、生活に影響を与える事象が多岐にわたるためです。
ただし、火山の種類や噴火の規模によって被害の程度は異なり、すべての噴火が甚大な被害を引き起こすわけではありません。
当記事では、火山噴火の仕組みや被害の種類、避難方法、火山灰対策について詳しく解説し、火山災害への備えとして何をすべきかを分かりやすく説明します。
火山が噴火したらどうなる
火山噴火のメカニズムとは
火山噴火は、地下に蓄積されたマグマが地表へ噴出する現象です。主にプレートの動きによって引き起こされ、地球内部のマントルが高温で溶けることでマグマが形成されます。マグマは地殻の割れ目や弱い部分を通じて上昇し、圧力が高まると火口から溶岩や火山ガスが噴出します。噴火の種類はマグマの粘性や含まれるガスの量によって異なり、爆発的な噴火や溶岩の流出を伴う穏やかな噴火が発生します。火山ガスには二酸化硫黄や一酸化炭素が含まれ、人体や環境に悪影響を及ぼすことがあります。
火山の種類による噴火の違い
火山は成因や形状によって分類され、噴火の特徴も異なります。成層火山は、溶岩や火山灰が繰り返し積み重なってできた円錐状の火山で、富士山や桜島が代表例です。このタイプの火山は爆発的な噴火を伴うことが多く、大量の火山灰や噴石を噴出する可能性があります。一方、楯状火山は流動性の高いマグマが広がることで形成され、ハワイのマウナロア火山のように穏やかな噴火を繰り返します。さらに、マグマが地表に達せず、地下で固まることで形成される火山もあり、これを溶岩ドームと呼びます。溶岩ドームは非常に粘性の高いマグマがゆっくりと押し上げられてできるため、突然の爆発的噴火が発生することがあります。
日本で過去に発生した大規模噴火
日本では、歴史上多くの大規模な火山噴火が発生しています。江戸時代の1783年に発生した浅間山の天明噴火では、大量の火山灰が広範囲に降り積もり、農作物の不作による飢饉が発生しました。さらに、1792年の雲仙岳(眉山)の噴火では、火山活動によって山体崩壊が発生し、大津波が九州沿岸を襲いました。この災害により、多くの死者が出たことが記録されています。20世紀以降では、1991年の雲仙普賢岳噴火が有名です。この噴火では火砕流が発生し、島原市周辺に大きな被害をもたらしました。最近では、2014年に御嶽山で突発的な噴火が発生し、多くの登山者が火山灰や噴石によって被害を受けました。日本には活火山が多数存在するため、今後も火山活動に注意を払う必要があります。
火山が噴火したらどこに逃げる
ハザードマップを確認する重要性
ハザードマップは、火山噴火時の被害が予想される地域や避難経路を示した地図です。各自治体が作成し、役所の窓口や公式ウェブサイトで確認できます。例えば、鹿児島県の桜島周辺では、噴石や火砕流の危険範囲が細かく指定されており、避難区域が明確に示されています。ハザードマップには、火砕流や火山泥流が到達する可能性のある地域、緊急避難場所、避難ルートが記載されています。火山が噴火した際に迅速に避難するためには、事前に自宅や職場周辺のハザードマップを確認し、安全な避難経路を把握しておくことが重要です。
避難ルートと安全な避難場所の見つけ方
避難ルートを選ぶ際は、火砕流や土石流の危険が少ない道を選ぶことが重要です。標高の低い谷沿いや川沿いは、火山泥流の影響を受けやすいため避ける必要があります。例えば、群馬県の浅間山周辺では、特定の河川沿いが土石流の通り道になるため、避難時には山側ではなく開けた平地を目指すことが推奨されています。避難場所は、自治体が指定する指定避難所や火山の影響を受けにくい頑丈な建物が適しています。特に鉄筋コンクリートの建物は噴石の直撃にも耐えられるため、安全性が高いです。事前に自治体の防災情報を確認し、家族で避難ルートを共有しておくことが大切です。
車での避難と徒歩での避難の違い
車での避難は大量の荷物を運べる利点がありますが、噴火による降灰や交通渋滞の影響を受けやすいという問題があります。例えば、1991年の雲仙普賢岳の噴火では、大量の降灰により視界が悪化し、車の運転が困難になりました。また、道路が噴石や火山泥流で塞がれると、車での移動が不可能になる可能性があります。一方、徒歩での避難は細い道や斜面を通れるため、渋滞を回避しやすいという利点があります。ただし、火山灰の影響を受けやすいため、防塵マスクやゴーグルを装備し、長袖の衣服で肌を保護する必要があります。状況に応じて適切な避難手段を選び、安全な移動を心がけることが重要です。
火山が噴火したらどうすればいいのか
噴火前にできる準備とは
火山が噴火する前に、安全な避難のための準備を整えておくことが重要です。まず、自治体が発表するハザードマップを確認し、避難ルートや避難場所を家族と共有することが必要です。鹿児島県の桜島周辺では、定期的に住民向けの防災訓練が実施されており、事前の備えが推奨されています。また、非常用持ち出し袋を準備し、火山灰対策として防塵マスクやゴーグル、長袖の衣類を用意することが大切です。さらに、ラジオやスマートフォンの防災アプリを活用し、噴火警報や避難情報を迅速に得られるようにしておくことが求められます。
噴火中にとるべき行動
噴火が発生した場合、まず落ち着いて安全な場所へ避難することが最優先です。屋外にいる場合は、噴石や火山灰から身を守るため、頑丈な建物の中に避難することが推奨されます。特に、熊本県の阿蘇山では過去に噴石による被害が発生しており、屋内退避の重要性が指摘されています。屋内では窓を閉め、換気扇を止めることで火山灰の侵入を防ぐことができます。外出が必要な場合は、防塵マスクやゴーグルを着用し、皮膚を守るために長袖・長ズボンを着用することが重要です。また、車での移動は視界不良やエンジンの故障を引き起こす可能性があるため、状況に応じて慎重に判断する必要があります。
噴火後の安全確認と避難生活
噴火が収まった後も、引き続き警戒が必要です。火山灰が積もった場所では滑りやすく、屋根に積もった火山灰が原因で建物が倒壊する危険があります。例えば、2014年の御嶽山噴火では、降灰による視界不良や建物の損壊が問題となりました。避難所へ移動する際は、火山灰を吸い込まないようにマスクを着用し、持ち物には食料・水・懐中電灯・バッテリーなどを含めることが推奨されます。避難生活が長引く場合は、感染症対策として手洗いや消毒を徹底し、自治体からの支援情報を随時確認することが重要です。
火山が噴火した時の行動
室内・屋外での具体的な行動指針
火山が噴火した場合、いる場所によって適切な行動をとることが重要です。室内にいる場合は、窓やドアを閉め、換気扇を止めることで火山灰の侵入を防ぎます。特に、鹿児島県の桜島周辺では、火山灰が頻繁に降るため、建物の密閉性を高める対策が推奨されています。屋外にいる場合は、速やかに頑丈な建物の中へ避難し、噴石や火山灰から身を守ることが必要です。高い場所や谷沿いは火砕流や火山泥流の危険があるため、避けるべきです。また、頭や顔を守るために帽子や防塵マスク、ゴーグルを着用し、皮膚を保護するために長袖・長ズボンを着用することが望ましいです。
火山灰への対策と注意点
火山灰は微細な粒子であり、人体や生活環境にさまざまな影響を与えます。例えば、1991年の雲仙普賢岳の噴火では、大量の火山灰が降り積もり、農作物への被害や交通機関の混乱が発生しました。吸い込むと呼吸器に悪影響を及ぼすため、防塵マスクを着用し、外出を控えることが重要です。また、火山灰は目に入ると強い刺激を与えるため、ゴーグルを使用し、コンタクトレンズの使用を避けることが推奨されます。自動車のエンジンに火山灰が入り込むと故障の原因となるため、エアフィルターの点検を行い、可能であれば車を使用せずに避難することが望ましいです。さらに、火山灰は雨と混ざると固まりやすいため、屋根に積もった灰は定期的に除去し、排水溝の詰まりにも注意する必要があります。
緊急連絡の方法と情報収集のポイント
噴火が発生した際は、正確な情報を迅速に入手し、適切な行動をとることが求められます。鹿児島県の桜島では、噴火警報が発表されると防災無線やテレビ、ラジオを通じて住民に知らせる仕組みがあります。スマートフォンの防災アプリを活用することで、最新の噴火情報や避難指示を即座に確認できます。停電時にも対応できるよう、手回しラジオや予備のバッテリーを準備しておくことが重要です。また、家族や知人と連絡を取る際には、電話回線が混雑しやすいため、LINEやTwitterなどのSNSや災害用伝言ダイヤル「171」を活用するのが有効です。噴火による被害状況や避難所の開設情報は自治体の公式サイトや気象庁の発表をこまめに確認し、デマに惑わされないよう信頼できる情報源を選ぶことが大切です。
まとめ
火山が噴火すると、火砕流や火山灰などの影響により、広範囲に被害が及ぶ可能性があります。
火山活動によって噴石や有毒ガスが発生し、交通機能の麻痺や健康被害、インフラの損壊など、多方面に影響を与えるためです。
火山の噴火は予測が難しく、突発的に発生することもあるため、事前の防災対策が重要です。適切な避難行動を知り、防災グッズを準備し、正確な情報を入手できるよう備えておくことが被害を最小限に抑える鍵となります。